活動報告
- ホーム
- 活動報告
定例研究会
国際教育や教育全般にわたるテーマで研究発表、事例報告と意見交換を行う定例研究会を年に5回程度開催しています。所員ばかりではなく、ゲストスピーカーを招いての発表・報告が行われます。参加者は、岡山理科大学などの大学関係者をはじめ学校関係者、公務員、大学院修了生、企業関係者など多岐にわたっています。
令和7年度 第4回定例研究会
- 日時:
- 令和7年12月27日(土)15:00~16:45
- 場所:
- 岡山国際交流センター・3階研修室
発表1
「ホテルマネジメント研究における企業内教育の役割:ザ・リッツ・カールトンの 人材育成を事例として」
- 発表者
- 牧 一郎(九州産業大学教授)
- 概要
- 外資系ホテルの代表例として知られるザ・リッツ・カールトンの人材育成手法は、サービス産業における卓越性を支える体系的かつ戦略的な教育モデルとして高く評価されている。その特徴は、従業員一人ひとりを「企業文化の担い手」と位置づけ、明確な理念共有、権限委譲、継続的トレーニングを通じて主体的なサービス創造を促す点にある。これに対し、日本のホテル企業では、依然としてマニュアル重視の教育や現場主義的なOJT中心の育成が主流であり、組織文化としてのサービス理念の浸透や従業員の自律性を育む仕組みが十分に整備されていない。この差異は、サービス品質の均質性を重視する日本型経営の強みでもある一方、顧客体験の高度化が求められる現代においては柔軟性や創造性の不足につながる可能性がある。外資系ホテルでは、教育プログラムの成果が明確に可視化され、従業員満足度の向上や顧客ロイヤルティの強化といった形で実践的効果が表れている。特に、理念を日々の業務に結びつける手帳「クレド」や、従業員が自ら判断して顧客の期待を超える行動を取るための権限委譲制度は、サービスの質を飛躍的に高める要因となっている。
日本のホテル産業が今後も観光立国である日本の成長を支えるためには、こうした外資系の成功事例を参考にしつつ、企業内教育を戦略的に再構築する必要がある。単なるホテルサービス技能習得のための研修会にとどまらず、理念共有、主体性の育成、継続的学習を組み込んだ教育体系を整備することが、日本のホテル業界の国際競争力の強化と持続的発展につながる。
発表2
「語学教育における生成AI活用の可能性 -初歩的な実践事例を手がかりとして-」
- 発表者
- 小山 悦司(倉敷芸術科学大学名誉教授)
- 概要
- 日本の英語教育は依然として入試をゴールにする受験英語の比重が高く、「聞く・話す・読む・書く」の4技能を実践的に使う時間の不足が大きな課題とされている。そこで期待されているのが、Chat GPT、Gemini、Copilotに代表される生成AI(人工知能)の英語を中心とした語学教育での活用である。生成AIは語学教育に革新をもたらす可能性を有している。
そこで本発表では、1)生成AIの概要、2)生成AIの教育分野への活用、3)日本語教育での初歩的な実践事例を中心に考察を加えた。3)の実践事例では、発表者らが取り組んでいる「オンライン日本語学び合い」の活動において、実際に生成AIの活用を試みた事例に基づいて、その効用や課題について検討した。具体的には、ネパールやスリランカの小学生を対象にした①外国語フレーズ作成、②レベル別教材作成、③日記教材作成である。
3大生成AIは、いずれも語学教育の面で実用性が高いものと考えられる。しかし、それぞれ得意とする分野があるので目的に応じて使い分ける必要がある。実際に外国ルーツの小学生への日本語教育(特に教材作成)で利用してみて、文章会話ではChatGPT、Googleサービスとの連携ではGemini、Office作業ではCopilotが総合的に優位であることが明らかになった。
生成AIを活用することにより、学習者一人ひとりのレベルや目的に応じて教材や会話内容を調整する個別最適化が可能になる。生成AIの活用は、語学教育を「知識の習得」から「実際の活用」へと根本的に転換させる大きな可能性を秘めている。
発表3
「倉敷芸術科学大学 A&S教育の新たな挑戦」
- 発表者
- 山口 一裕(倉敷芸術科学大学副学長)
- 概要
- 2025年に創立30周年を迎えた倉敷芸術科学大学は、建学の理念「若人の持つ能力を最大限に引き出す」を具現化すべく、VUCA時代に即した「アート&サイエンス(A&S)教育」を全学的に展開している。この教育の核心は、論理性と仮説検証を重んじる「サイエンス思考」と、既成概念にとらわれず直感や感性で新たな課題を見出す「アート思考」の融合にある。現代社会において世界のエリートが「美意識」を鍛えるように、本学もまた知性と感性の両輪を備えた、創造力豊かな人材の養成を目指している。
A&S教育の構造は、全学共通の教養教育にあたる「Basic Program」と、各学部学科の専門教育である「Advanced Program」から構成されており、教養教育だけでなく専門教育とも有機的に連動させた4年間の学びとして体系化している。特に初年次教育を担う「Core科目(12科目16単位)」は必修として位置づけられている。芸術学部と生命科学部を併設する本学の特色を反映し、感性を磨くためのアート表現や工芸制作、生きる力を養うサバイバル学や発酵サイエンス、さらには豊かな表現力と思考力を培う日本語ライティング、クリティカル思考、対話型鑑賞、自己認識力の向上を目指すセルフアウェアネス、ライフビルディングなど、多角的な授業を展開している。
このA&S教育のプロセスは、素直な眼で世界を捉える「INPUT」、独自の問いを立てて探究を深める「THINK」、そして自分なりの答えを表現する「OUTPUT」という3つの学びのスタイルを基軸としている。学びの場は学内にとどまらず、大原美術館での対話型鑑賞や地域連携を通じた実践型の教育を取り入れ、他者との協調・協働を重視している点も大きな特徴である。これらの取り組みは、自分自身のスタイルを確立し、独自の物語を紡いでいく「Get my Style, Make my story」というスローガンに集約されている。
今後の展望としては、このA&S教育が「知性と感性を兼ね備えた創造力豊かな人材」の養成に対してどのような実効性を持つのかを科学的に検証し、専門教育へとより効果的に導入していくことが課題である。本学が提示するアート&サイエンス教育モデルは、不確実な未来を切り拓くための新たな大学教育の方向性を示す、極めて先進的な挑戦といえる。
公開講座・研修会
加計学園フィロソフィの「国際人を養成する」ための公開講座や研修会等を開催し、学園全体の国際交流・グローバル教育に関する理解を深め、国際社会に貢献できるマインドや資質能力の育成を図ります。
広く市民に向けた公開講座を開催し、学園の実施する各種の国際交流プログラムの周知を図る広報活動を展開する予定です。
オンライン公開講座(3月1日)
- 日時:
- 2025年3月1日(土) 16:00~17:00
- 場所:
- オンライン(ZOOM)形式
国際教育研究所では、以下の要領でオンライン公開講座を開催しました。
1.日時:2025年3月1日(土)16:00~17:00
2.講師:倉敷芸術科学大学危機管理学部長 村山公保教授
3.演題:生成AIの進化と活用法 ~仕事と生活にどう役立てるか~
4.対象:原則として加計学園教職員
5.形式:オンライン(ZOOM)
6.参加費:無料


